金子和史
東京・品川―名古屋間で工事が進むリニア中央新幹線について、工事に反対する沿線の住民らが、JR東海の計画を認めた国を相手取り、認可の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁(市原義孝裁判長)は18日、請求を棄却する判決を言い渡した。
工事は、2014年にJR東海が環境影響評価などを踏まえて国土交通相に申請し、認可された。工事費は約7兆円で、品川―名古屋間は27年の開業予定だったが、工事は思うように進んでいない。
沿線の住民ら約780人は16年に提訴した。東京地裁は20年12月、「工事や運行により著しい被害を受ける恐れがある地域に住んでいる」と認めた1都6県の約250人に限り、訴訟を起こす資格(原告適格)があるとする中間判決を出した。
焦点は環境影響評価
訴訟で原告側は、認可の前提となったJR東海の環境影響評価について、「具体性に欠け、不十分な内容だ」と批判。工事による水源や生態系への影響や、振動や騒音が沿線住民の生活環境に与える影響を小さくするためにJR東海が講じる措置は、「効果が不明確だ」と主張していた。
国側は、環境影響評価は、省令に基づいて適切な場所と期間を選んで調査された、と反論した。訴訟に補助参加人として参加したJR東海も「関連法令の規定に従って実施している」と訴えていた。
リニア工事をめぐっては、沿線の山梨や静岡の住民がJR東海を相手に工事の差し止めを求める訴訟も起こしている。(金子和史)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル